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2010/09/07 (Tue) 01:29
【東方Project】孤独なレミリアの幸せなる日常。

ZUNさんの同人サークル『東方Project』の『東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.』のレミリアを中心とした二次創作小説です。

1年前くらいの作品ですが、友人に見せたところ「駄作」の一言。
このネタは使い古されている、とのこと。

ブログに載せるにあたっておかしい文体には手を加えました。
まだおかしいかもですけど。

駄作を承知!という方は『続き』からどうぞ。



レミリアが目を覚ました頃には、夕日は山の稜線に沈みかけていた。

「…ん」
起きてすぐ、レミリアは違和感を感じた。
いつもならば、まるでレミリアが起きる時間を予め知っていたかのようなタイミングでメイドの咲夜が部屋に入ってくるのに、今日は部屋の扉を凝視してみても開く気配がないからだ。
「…何かあったのかしら」
単に咲夜には特別なにかやらなくてはいけないことがあるのかもしれない。
たとえば、侵入者の撃退。
たとえば、門番のしつけ。
レミリアは少し考えたが、時にはこういう事もあるだろう、と特に気にとめることもなくゆっくりと着替え、部屋をあとにした。

「あら?」
部屋を出て廊下を歩いてみても、咲夜どころか妖精メイド1匹にさえ会わない。
レミリアはいよいよもっておかしいと思い始めた。
「館中を総動員するほどのことって…」
侵入者だろうか。
侵入者といってまず思い浮かぶのは魔法使いの霧雨魔理沙。
だが魔理沙は図書館に行くだけだし、パチェも魔理沙による本持ち去りの阻止を半ばあきらめた様子だった。
最近では咲夜が紅茶を出したりして、ほぼ来客の扱いになっている。

レミリアは大広間の扉の前で立ちどまり、考える。
まず、霊夢が急に攻撃してくるような理由はない。
古い隙間妖怪や冥界の幽霊にも攻撃される筋合いはない。
そもそも、幻想郷全体を見回してみたところで思い当たる節が全くない。
「ということは侵入者じゃないのかしら…」
そうつぶやいて別の可能性を考え始めたそのとき、ギギギ、という音とともに大広間の扉がひとりでに開いた。

レミリアが驚いて顔を上げると扉の向こうに立っていたのはパチュリーだった。
「あら、パチェ。大広間にいるなんて珍しいじゃない」
「レミィ…ちょうど準備が終わったところよ。」
「?…準備って?」
パチュリーはじっとレミリアを見つめると大広間の中へ招いた。
レミリアは導かれるままに大広間に入る。
大勢の妖精メイドたち。
カーテンで外光が遮断されている大広間。
フロアを仄かに照らす大量の蝋燭。
そして。
その蝋燭の光に包まれるように置かれたひとつの棺桶。

―――棺桶は死人の入るもの。
それは、いつかの自分が言ったことだった。
「ねぇ、パチェ…。いったいどういうこと?だれが死んだのよ」
「…レミィ。」
ひとつ間があいて、パチュリーが呟く。
「死んだのは、咲夜よ。」
「…?」

サ ク ヤ ?

絶句したレミリアをよそにパチュリーが静かに語りだす。
「咲夜は能力を使って時間を止めていたということを考えれば、かなり長生きだったわ。もちろん、“人間としては”だけれど」
「何を…言っているの…?」
「何って…咲夜が天に召されたあと、レミィが『長い間仕えてきてくれた感謝として特別に弔う』って言ったんじゃないの」

混乱。

「だって咲夜は昨日まで…!」
レミリアは駆けだして棺桶に近づく。
そして、棺桶の蓋に手をかける。
「レミィ!」
パチュリー制止の声が耳に入る。
それでもレミリアは迷うことなく棺桶を開く。
そして―――

レミリアが目を覚ました頃には、夕日は山の稜線に沈みかけていた。
「…夢…?」
悪魔が悪夢にうなされるなど聞いたことがない。
自分に呆れて溜息をついたその時。
ノックがふたつ。
そして、部屋の扉が開く。

「おはようございます、お嬢様」
いつもどおりの咲夜の声。何一つ変わったところはなかった。
「…おはよう、咲夜」
咲夜は部屋に入るといつもどおりテキパキとレミリアの身の回りの世話をする。
レミリアは夢を思い出して、じっ、と咲夜を見つめる。
咲夜はその視線に気づいて微笑む。
「どうかなさいましたか、お嬢様?」

レミリアは切り出す。
「東洋の獏という生き物が悪夢を食べるというのは本当なのかしら?」
「そう聞きますけれど…悪い夢でもご覧になったんですか?」
「…まあ、ね。」
レミリアは着替えを済ませ、咲夜と共に寝室から出る。
そして、大広間に向かって並んで歩く。
廊下には妖精メイドたちが忙しそうに働いている。
それを横目で見ながら、レミリアは咲夜に話し掛ける。
「そういえば、霊夢が夕方から神社で宴会をやるっていってたわよね?」
「ええ。お出かけになるんですか?」
「どうしようかしら…。」

レミリアは立ちどまって天井を仰ぐ。
レミリアは吸血鬼である。性格が子供っぽいとは言っても人間よりも遥かに長く生きている。
そして、そのぶん多くの知識と経験を持っている。
だから、彼女は知っている。

始まりがあるがゆえに、終わりがあり。
終わりがあるがゆえに、始まりがある。

レミリアはそんな当たり前のことを、誰よりもよく知っているのだ。
だから、咲夜がいくら優秀なメイドであっても所詮は人間であって、いつか別れの日が来るということももわかっていた。
覚悟だってできていた。そのはずだった。
所詮人間なのだから、と。

咲夜は急に立ち止まったレミリアを不思議そうに見る。
「お嬢様?」
「決めたわ、咲夜」
「はい?」
「私と一緒に神社へ来て頂戴。それから、フランとパチェも連れて行くわよ」
「え、妹様とパチュリー様もですか?」
「そうよ」
咲夜のほうを見る。ちょうど目が合った。
咲夜は不思議そうな顔をしている。
「たまには、ね」
それを聞いて咲夜はにこりと笑う。
「かしこまりました。お嬢様。すぐに準備いたします」
咲夜はお辞儀をして廊下を早足で歩きだす。

「ねぇ、咲夜…私のそばにいてくれる?」
掠れたような声でレミリアは呟く。
咲夜が振り返る。
「何かおっしゃいましたか、お嬢様?」

彼女は知っていた。
人間がとても儚いということ。
すべてのものは移り変わるということ。
明日には消えてしまうものがあるということ。
そして、いつか、ひとりぼっちになってしまうということ。
けれど、今はここにいる。

ねぇ、咲夜。
どうか。どうか、今だけは。
言葉は喉元でつっかえた。

「…なんでもないわ。準備、よろしく頼むわね」
「かしこまりました」
咲夜は再び歩きだす。

…後ろから急に抱き着いてやろうかしら。
レミリアは歩いていく咲夜の背中を見つめながら、ふと、そう思った。
その背中はきっと暖かいだろう。
そして、その温もりは、孤独に怯える臆病な悪魔の心をそっとほぐすだろう。

レミリアは咲夜を追って走りだす。
走りながら心の中でそっとつぶやく。
ねぇ、咲夜。

『今だけは、そばにいて』

咲夜の背中まで、あと5メートル。
孤独な悪魔が幸せに気づくまで、あと1秒。
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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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